おはこにゃばちにんこ。

ロロたんぬです。

「シャッフルはちゃんとしようね」っていう記事を見かけました。

 

シャッフルがどうすれば十分と言えるのかって、
文章に落とし込むのも大変だし、動画にするのも大変だし、伝え方難しいよなあと思いました。

そこで、ロロたんぬも自分なりに「シャッフル概論」を提唱しようと思います。

先にお伝えすると、ぼくのイメージする「シャッフル」はこれを読んでいる方と違う可能性もありますし、
これでも足りない、難しく考えすぎみたいなところもあったりします。
検証についても机上論的なところが多いので、ツッコミどころ満載です。

まず大事なのは、
お互いに気持ちよくポケモンカードで遊ぶ」こと。
家で遊ぶだけなのにシャッフル気をつけなきゃとか、
シティリーグに参加するのに、家と同じ方法でいいやとか、
TPOをわきまえないのは、気持ちが良いプレイヤーではありません。

同じことを言いますが、
おうちで遊ぶだけとか、ジムバトルで失礼なく遊びたいとか、シティリーグで不正かどうかを疑われないようにするとか、
目的に合わせて、自身のシャッフル論を振り返っていただくきっかけになれば幸いです。

シャッフルをするとは。

ポケモンカードゲームのフロアルールの言葉を借りるなら、
「デッキを『切る』(シャッフルする)とは、デッキのカードの順番が、お互いのプレイヤーにわからないよう、十分にランダムになるまでよく混ぜることです。」とあります。

ランダムになること、ランダマイズ、無作為化と言います。

そもそも正しく「ランダムになる」状態について理解がないと、これからの話が進められないので、
これだけは目線合わせをさせてください。

目が痛くなるデータですみません。

左のデータと、右のデータ、よりランダムなのはどちらでしょうか。

Aの方は、31と30が並んでいたり、40と50と60が近くにあったり、偏りが見られます。
Bの方は、ぱっと見一桁の数字が適度に分かれていて、規則性がなさそうにも見えます。

答えは、Aの方がランダムです。
実際に乱数ツールを使って、1~60の数字を生成したものになります。

Bの方は、手作業で数字を当て込みました。
一件ランダムに見えますが、「ひとつ上の数字に23を足す。答えが60を超えた場合は60を引く」という定義で、
めちゃくちゃ規則正しくならんでいます。1、24。47、次は70ですが60を引くので10、33、56……という風に。
ぼくはこの、”だれかの手でつくられたランダムに見える状態”を「作為的無作為」と呼んでいます。

本来、無作為に並んでいるということは、Aのように「ちょっとは偏る可能性があることもまた無作為である」ということです。
手札にエネルギーしかない、サイドに進化先が全部落ちた、などが起こるのは、十分に無作為化されている証拠です。

これらの偏りを「意識的に散らそうとする」と、Bのように「作為的無作為」の状態になってしまいます。

この記事では、
十分に無作為化されている」ことを良し、「作為的無作為」の状態を悪い、とします。

それぞれのシャッフルについて

ここからは、一般的に「シャッフル」と呼ばれる方法を3つ取り上げて、
それぞれの無作為化におけるメリット、作為的無作為になりうるデメリットを紹介していきます。

ディールシャッフル

まずは、よく作為的無作為になりうるシャッフルとしてやり玉にあがりやすいディールシャッフルについて。

ディールシャッフルとは、カードをテーブルの上に配るようにして散らしていく立派なシャッフルです。

たとえば、
1番から30番のカードが順番に並んだデッキがあります。
これを、順番に6枚ずつ配り、最後に右から重ねなおします。

ディールシャッフルにおける明確なメリットは、
誰でも一様に混ぜることができる」ことです。
手が小さくても、後述するファローやヒンドゥーがうまくできなくても、
とりあえずバラバラな状態をつくることができるのがディールシャッフルです。

しかし、一様に混ぜられるということは、混ざり方は一定とも言えます。
たとえば、デッキがリストの順番通りに並んでいたとします。
ポケモン、トレーナーズ、エネルギー……。
これらを一様に配り、重ねなおすとどうなるか。

一見バラバラに見えますが、
エネルギー、グッズ、サポート、ポケモンが順番に並んだ状態になります。
始めに解説したとおり、規則正しくならんだ状態は「作為的無作為」の状態です。

これは「十分に無作為化されている」とは言えません。

ピンとこない人のために、実例に置き換えてみます。
テツノカイナexデッキを用意しました。
後攻最初の番に、エレキジェネレーターで2枚エネルギーがついて、ダブルターボエネルギーを手張りして、
「ごっつあんプリファイ」が使えれば、それはもう気持ちがいいですよね。

ちょっと文字が小さくてごめんなさいですが、
同じカードをまとめた状態でデッキを用意して、
4枚配りでディールシャッフルを行った様子です。

図にあるように、どこを区切ってゲームを開始しても、
だいたい後1「ごっつあんプリファイ」にたどりつけそうな配分になっています。

ディールシャッフルが好まれないのは、
このようにアキラカな作為的無作為に陥りやすいためです。

ポケモンカードゲームのあそびかたでも、
デッキの切り方としてディールシャッフルが推奨されていましたが、
いつの間にかあそびかた説明書からはデッキの切り方の項は無くなっていました……。

余談ですが、
60枚のデッキを23枚配って、重ねなおした場合の図を置いておきます。

これまた小さい図で申し訳ないですが、
60枚の束を23枚ずつ配ると、予備知識の図Bの「作為的無作為」状態の配列と全く同じものができあがります。

23枚ずつ配ること自体変な話ですが、一見完全にランダムに見えていても、
正しい状態ではないかもしれない、ということがよくわかる例です。

まとめると、
ディールシャッフルは、
誰でも一様に複雑なシャッフルを行える」が、
規則的な配列に陥りやすい」です。

ヒンドゥーシャッフル

ヒンドゥーシャッフルは、一般的に「シャッフル」と聞いて頭に浮かべるアレです。

デッキの真ん中くらいをつかんで引き抜き、上に重ねる、
デッキの真ん中くらいをつかんで引き抜き、上に重ねる、
デッキの真ん中くらいをつかんで引き抜き、上に重ねる、
を繰り返して混ぜていきます。

一般的なシャッフルとして浸透しているため、
はじめてトレーディングカードゲームに触れる方が最初にするシャッフルだと思います。

ヒンドゥーシャッフルのメリットの一つ目は、この「浸透」にあります。
他二つに比べてもっとも手軽に行えるシャッフルのため、すばやくシャッフル回数を重ねることができます。

ヒンドゥーシャッフルの仕組みとしては、以下のイメージ。
ふたたび、30枚のデッキを用意します。

数字ではわかりにくいので、カードで置き換えてみます。

4回程度のヒンドゥーシャッフルの結果としては、
「あんまり散らばってないなあ」という感想になると思います。

ヒンドゥーシャッフルの大きなデメリットは、「十分な無作為化ができない」ことです。

しかし、数字の方の図を見てわかる通り、「先頭にあったカードがどこに配置されたか」はわかりにくくなりました。
ヒンドゥーシャッフルのメリットの2つ目は、配列を簡単に「崩せる」ことです。

まとめると、
ヒンドゥーシャッフルは、
すばやく何度でも行えて」、「配列を崩すことができる」が、
十分な無作為化ができない」です。

ファローシャッフル

ファローシャッフルは、カードゲームに慣れてきた人にはぜひ実践していただきたいシャッフルです。

カードの束を2つに分けて、片方の束の1枚1枚を、もう片方の束のスキマに差し込んでいきます。

30枚のデッキで図説すると、

Excel上で手打ちしたので、どうしても完ぺきに1枚ずつ間に差し込む、
いわゆる「パーフェクトシャッフル」の状態になってしまっていますが、ご容赦下さい。

ファローシャッフルは、ディールシャッフルと同じくらいの精度で、
カードの配置を散らすことができます。

先にメリット・デメリットをお伝えすると、
ファローシャッフルは、
物理的に難易度が高いので練習が必要ですが、
十分な無作為化が適切に行える方法です。

その練習に対して、しっかりと無作為化の結果がついてきてくれることから、
シャッフルの話題になると「ファローシャッフルはできていた方がいい」という意見が多くなりがちです。

そのファローシャッフルについて、気を付けてほしいポイントをお伝えしておきます。
以下は、ファローシャッフルをひたすら繰り返し続けた結果の表です。

こんなにきれいにシャッフルできる人は見たことはありませんが、
ファローシャッフルだけを行った場合に、
陥るかもしれない罠については知っておいてください。

1つめ、上下の青い枠の部分、先頭と末尾は無作為化されずに固定されたままになっています。
これは、右手でつかんだ束は右側に、左手でつかんだ束は左側に、と
掴んだ束を戻す位置が、無意識に一定になってしまう場合に起こります。

2つめ、一様にファローシャッフルをし続けると、
縦の赤い枠のように、ディールシャッフルを行ったのと同じような
きれいな配列が生成されてしまうタイミングがあります。
ファローシャッフルは完ぺきに行い続けると、もとの配列に戻る」ことは知識として持っておきましょう。
実際に戻せるかどうかではなく、自分が戻してしまっているかもしれない、
相手が戻しているかもしれない、という危機管理につながります。

気を付けてほしいポイントを踏まえて、あらためてメリットデメリットをまとめると、
ファローシャッフルは、
最も手軽に十分な無作為化ができるが、
練習をすることと、作為的無作為が疑われないための知識を持つことが必要である。

複数のシャッフルを組み合わせる

ディールシャッフル、ヒンドゥーシャッフル、ファローシャッフル。
それぞれのシャッフルはれっきとした「無作為化」の行為であるものの、
先述のとおり、メリットとデメリットがあります。

そこで、それぞれのメリットを活かし、デメリットを補いあうように、
複数のシャッフルを組み合わせることで、「作為的無作為」の状態を避けるようにしましょう。

たとえば、ディールシャッフルを行う場合

ディールシャッフルは、誰でも一様に無作為化ができますが、
配列を並べているだけのようなシャッフルです。
そこで、「配列を崩す」ことが得意なヒンドゥーシャッフルを、
ディールシャッフルの前後、さらには配った薄い束の状態でも適度に行いましょう。

先頭のカードの位置をわからなくすること、配ったカードの配列を崩すこと、束ねた後でさらに混ぜ合わせることで、
十分な無作為化に臨むことができます。

たとえば、ヒンドゥーシャッフルを行う場合

ヒンドゥーシャッフルは、試行回数が多く、手軽に混ぜ合わせることができます。
残りの山札が薄い時や、ナンジャモで手札を戻すときなどにオススメです。

対戦の途中、ハイパーボールで山札を見た後などのシャッフルは、適度にファローシャッフルを混ぜましょう。
ファローシャッフルは、ディールシャッフルほどではありませんが、無作為化が得意なシャッフルです。
ヒンドゥーシャッフルと、適度なファローシャッフルで配列をわからなくしながら、無作為化を進めてください。

たとえば、ファローシャッフルを行う場合

ファローシャッフルは、いつどこで行っても、十分な無作為化が行えるシャッフルです。
ただし、配列を崩すことには向いていないので、
あらかじめヒンドゥーシャッフルを行って先頭のカードの位置をわからなくしたり、
デッキの一番上のカードがしっかり内側に混ざるようなファローを心がけてください。

対戦準備時などは、特にストップがかからない限り、対戦相手と雑談でも交えながら、
ただただファローシャッフルをしているだけの人を演じるのがオススメです。
相手に「この人シャッフルが足りていないな」と思われることが減るし、
雑談のおかげで和やかなムードのまま対戦に臨むことができます。
追加でディールシャッフルもしておくと、デッキの枚数をカウントしたり、雑談の時間を稼いだりできます。
相手のシャッフルの温度感にあわせて調整しましょう。

つまるところ。

「○○の場合」と場合分けしましたが、全部やる、組み合わせる方がいいです。
さすがに対戦中にディールし始めるのはナンセンスですが、相手に不信感を与えない努力をしましょう。

ここから先は、さらに一歩踏み込んで、
こういう場合どうしたらいい?というオススメを連ねていきます。

シャッフルFAQ

よくある質問のコーナー。
シャッフルは、
人によって必要だと思う量が違ったり、
フロアルールや大会ルールによって定められていたり、
そもそも気にしてなかったりする場合があるので、
あらためて「あくまで知識として」読んでいただければと思います。

相手のシャッフルが不十分に感じた

ジムバトルなどの公認大会、トレーナーズリーグ、シティリーグ、チャンピオンズリーグなど。
プレイヤーは、対戦相手のシャッフルのあとに、相手のデッキを追加でシャッフル(または簡単なカット)をすることができます。

Q.対戦開始前。相手はヒンドゥーシャッフルだけをひたすらしています。
観ている限りでは、デッキの一番上と一番下は混ぜてあるようですが、十分な無作為化ができているとは思えませんでした。

A.相手がファローシャッフルを知らない場合があります。
相手のデッキを預かって、代わりにシャッフルをしてあげましょう。
「ファローシャッフルをしてもよろしいですか?」と声をかけるとなおよいです。
対戦開始前とのことなので、時間が許すようであれば、代わりにディールシャッフルを行うのも手です。
こちらも一声あるとよいでしょう。
特にディールシャッフルは時間がかかるので、お互いのシャッフルについてお話しする時間も取れると思います。
相手の年齢層にあわせて話題が変えられると120点です。

Q.相手にファローシャッフル(ディールシャッフル)での追加のシャッフルを断られました。

A.ジャッジ(いない場合はスタッフ)を呼び、指示を仰ぎましょう。
ポケモンカードは、相手のデッキをシャッフルすることは権利ですが、その方法についてはフロアルールで定義されていません。
ましてや、「傷をつけないように注意」とまで書いてあります。「傷がつきそうだからやめて」と言われると、返す言葉はありません。
相手が納得していない場合、運営(ジャッジまたはスタッフ)の指示する方法でシャッフルを行ってください。
ジャッジやスタッフに、代わりにシャッフルをしてもらうことも可能です。この方法はポケモンカードゲームのフロアルールに載っています。
ジャッジの指示に従わない場合は、ペナルティを発行することがあります。

山札にもどして切る。について

ポケモンカードゲームでは、
「オモテを見たカード」や「トラッシュからカード」を山札にもどして切ることがよくあります。

Q.相手がすごいつりざおでもどすカード3枚を、
山札の上、真ん中、下に1枚ずつ差し込むようにしてもどしました。

A.その場合は、ヒンドゥーシャッフルを多めに行ってから、ファローシャッフルで混ぜることがおすすめです。
最初からどの位置にあるかがある程度わかってしまっているので、
ヒンドゥーシャッフルを行って配列を崩してから、ファローシャッフルで無作為化しましょう。
結局、散らして差し込んでも、固まった状態でデッキに戻る場合もあります。
複数のシャッフルを組み合わせることが大事です。

Q.相手がすごいつりざおでもどすカード3枚を、
山札の上に3枚まとめてもどしました。

A.その場合は、ファローシャッフルを多めに行ってから、ヒンドゥーシャッフルを行って、ファローシャッフルで混ぜることがおすすめです。
1カ所に固まっている状態を崩すのはヒンドゥーシャッフルは不得意です。
ファローシャッフルを行って戻したカードを散らしながら、ヒンドゥーシャッフルで位置を特定できなくして、
追加のファローシャッフルで無作為化しましょう。結果として、固まった状態が元に戻る場合もあります。
とにかく、複数のシャッフルを組み合わせることが大事です。

Q.自分がジャッジマンを使った時、相手が散らして戻す時と、束ねて山札の上に戻す時があります。

A.すごいつりざおの時と同様に、散らしているならヒンドゥーシャッフルで崩してファローして無作為化を、
束ねているなら、ファローで散らしながらヒンドゥーとファローを組み合わせて無作為化しましょう。
戻し方に差があると気が付いた時は、相手のシャッフルの仕方の違いについても気を付けて観察してみましょう。
○○の時のシャッフルと、△△の時のシャッフルの仕方が違うこともあり得ますので、足りないと思った方のシャッフルを代わりにしてあげてください。

Q.ナンジャモを使った時にカットをすべきでしょうか。

A.最序盤は不要かと感じますが、デッキの残り枚数が少ない、相手の手札が極端に多い場合は「シャッフル」をしましょう。
戻す前に配列をおぼえて、覚えた順番に山札を引くことは可能です。相手がハンドシャッフルのような並び替え、ヒンドゥーシャッフルのみで戻そうとしている場合はたとえ薄くてもファローシャッフルを組み合わせることをオススメします。

終わりに

たいあたりジムにはコメント機能がついていますが、通知が来るようなものではないので、
疑問質問、意見要望ある場合はロロたんぬ( @Lolo_tannu )までお知らせください。

シャッフルに正解こそないと思いますが、間違いはあると思います。
お互いに気持ちよくポケモンカードで遊ぶ」ために、ちょっとだけお勉強してみませんか。