おはこにゃばちにんこ。

ロロたんぬです。

ジャッジ稼働をしていると、
「慣れ」の部分でさらっと解決してしまうことが多々あります。

その中の一つに「裁定を出す」ことが挙げられます。

手札を山札に戻してしまった……
→あー、サイドペナルティねー

グッズロックなのにクイックボール使っちゃった……
→あー、、、トラッシュ確認しますね……これは警告ですねー

ぼくはもう自分の中でのパターンができているのでさらっと答えが出せますが、
これからはじめましての人には難しい問題です。

今回はそこに焦点を当ててお話します。

真面目な話題なので枕話もないです。

イベントにおけるジャッジの仕事

ジャッジの主なお仕事は
3年前に僕が初めてジャッジ稼働したときにまとめました。
報酬とかおもてなしの部分がやや変わっていますが、
大枠はこの通りです。

【めっちゃ】オーガナイザージャッジ、その活動とは!?【楽しい】

ミーティングをして(会食はコロナの関係でナシ)、ホテルに泊まって、
当日の業務のほとんどは「イベントを円滑に進める」ために動くこと。
報酬をもらって終わり(今は後日郵送になっています)。

では、「イベントが円滑に進む」とはどういうことでしょうか。

いつもジャッジミーティングで共有している内容として、
ジャッジの仕事は以下のようにまとめられています。

①予防する
②修復する
③裁定を出す

これらを実践することで、
イベントが円滑に進行する」のです。

①予防する

たとえば、
・トラッシュが机のギリギリにぐちゃっと置いてある
・ベンチポケモンが重なりすぎて何が出ていて何がついているのかわかりにくい
など、
「これから起こりうるプレイエラー」が想像できるとき、
ジャッジはここに干渉して、
プレイエラーが起きない」ように努めます。

②修復する

たとえば、
・使ってはいけないカードを使ってしまった
・どこかからカードを落としてしまった
など、起こってはいけないことが起きてしまった場合に、
正しい状態に修復すること」が求められます。

③裁定を出す

予防・修復をするうえで、
・どうしても修復が不可能
・プレイヤーが応じなかった
など、円滑な進行に支障をきたす場合、バランスをとるために、
そこで初めて「裁定を出す」ことになります。

言葉で表現するのは簡単ですが、
実際に目の前にすると、どう対応していいのかわからない。
円滑に進行しなきゃいけないから、早く裁定を出さなきゃ。
パニックになることもあります。

そうならないために、
あらかじめイメージトレーニングをしておくことが大事です。

修復をする・裁定を出す際には

修復、裁定を出す際は、しっかりと状況の把握が必要です。
ジャッジだけでなく、プレイヤーがパニックに陥っている場合もありますので、
冷静に、双方の状況を、双方の視点から確認するようにしましょう。

たとえば、ジャッジが呼ばれた際に、このように説明された。

A「相手がクイックボールを使って、クロバットVを持ってきた。
それをベンチに置いてから、別のクイックボールを使って、デデンネGXを持ってきた。
最初に持ってきたクロバットVを手札に加えておらず、
すでにベンチに置かれているので、ベンチに出したものだと思ったが、
デデンネGXを持ってきた後で特性「ナイトアセット」を宣言された
おかしいと思ったので、ジャッジを呼んだ」

かなりよくあるミスというか、フリー対戦の癖が抜けずに
大型大会でよくやらかしてしまう例だと思います。
この時、だいたいお互いが
「持ってきただけ」「ベンチに置いた」と言い争いになっています。
一見、水かけ論のように感じますが、
クイックボールを使った側の意見も聞くようにします。

B「クイックボールを使って、クロバットVを持ってきました。
しかしベンチに置いたつもりはありません。
続けてデデンネGXを持ってくるためのクイックボールを使いました。」

ジャッジ「クロバットVは手札に加えましたか?」

B「いいえ、加えずに次のクイックボールを使いました。」

こんなに丁寧にお返事をもらえることはあまりないのですが、例として。

この水かけ論のなかで唯一一致しているのが、
AもBも「クロバットVを手札に加えなかった」と言っています。
そのため、心苦しいですが、
今回はクロバットVをベンチに出したものとして、
プレイの続行をお願いすることにしました。

Aの意見もBの意見も、両方聞くことによって出せた裁定になります。
どれだけ焦っていても、盤面の整理、
ヒアリングは怠らないように気を付けなければいけません。

ペナルティクイックチャートを活用する

裁定を出す際は、程度によって正しい裁定・ペナルティを課さなければなりません。

公式サイトに、ペナルティクイックチャートがあります。

~が起きたら?
~されたら?
ある程度、場合分けされています。

これを全部覚えられて、
質問に対してクイックチャートをもとに
修復・裁定を出すことができたら完璧です。
テストでいうところの100点。

ただし、テスト通りにいかないのも人生なので、100点には近づけつつ、
イメージトレーニングをするのに注意すべきポイントを取り上げていきます。

最初に、各ペナルティ・各カテゴリーについて説明します。

ペナルティ

ペナルティにも程度があります。
気を付けてね、で済む話なのか、
重い罰を与えるべきなのか、
ポケカでは7段階で表しています。

注意

「きをつけてね」と口頭で注意・指導を行うものです。
手札を床に落としてしまったとか、
ポケモンチェックでねむりのコインを投げ忘れたとか、
試合に支障をきたさないレベルのプレイエラーがこれです。
ジムバトルで起きてしまってもセルフジャッジで済むレベルです。
カードやコインを落としてしまったときは、
不正防止の意味でジャッジが対応します。
ただし、何度も同じ注意を受けていると、
重なって警告・サイドペナルティになる可能性があります。

警告

「次やったら許さないかんな」と口頭で注意・指導を行うものです。
グッズロック中にグッズを使ってしまったとか、
場のポケモンを手札と混ぜてしまったとか、
修復が可能なレベルだけど、
勝敗に影響しかねないプレイエラーには警告を与えます。
「裁定を出す」際に多いのが警告です。
のちほど詳しく説明します。

サイドペナルティ

ただ「戻す」だけでは修復ができず、
有利不利が生まれてしまう場合、サイドペナルティを検討します。
グッズロック中にグッズを使ってしまって、不当に情報を得てしまった、
場のポケモンを手札に混ぜてしまったまま、ターンが進行してしまった、など。
「裁定を出す」際に警告なのか、サイドペナルティなのか、
ここの線引きが一番難しいです。
のちほど詳しく説明します。

複数サイドペナルティ

サイドペナルティが重くなったものです。
サイドペナルティの上だから2枚……と思われがちですが、
1枚の上は3枚です。2枚はありません。
1枚レベルのサイドペナルティが2つ重なってしまったとか、
敗北ほどではないが、意図的なプレイエラーなどには
重いペナルティが課される場合があります。
これは初めましての一般ジャッジに出せる裁定ではありません。
手に負えない・2つ以上のエラーが重なってると判断したら、
すぐに上位ジャッジに連絡しましょう。

敗北

重いペナルティの中ではよく見るものです。
デッキリスト未提出のまま試合に臨んでいたり、
使用できないカードを含んでいたり、
スコアシートを書き間違えたまま進行してしまったり、
例はさまざまです。
敗北以上はマスタージャッジ判断になります。

(当日中)出場停止

「ごめん、今日は帰って。」と言われるものです。
最近は事前オンライン提出制なので少ないですが、
デッキリストに不備があって本来出場できるものではなかった、
とか、
反り・マーキングが重く、代用カードがない、
などもこれに当たると思います。

一定期間出場停止

進行に支障をきたすどころではなく、
運営の方から「しばらく来ないでほしい」と言い渡されます。
ぼくの13年くらいのポケカ人生で
1,2人いるかな……?くらいです(しかも噂レベル)。
後述の「非紳士的行為」が重い人に与えられる印象です。
アキラカな積み込みを行った、とか、
虚偽の勝敗報告を行った、とか…。

カテゴリー

不正の種類について。
ペナルティを与える根拠になる部分です。
何がダメだったの?という不正を
ポケカでは6つのカテゴリーに分けています。

プレイエラー

一番多い不正です。
「ルール上できないことをやっちまった。」ってやつ。
皆さん身に覚えがある「ルールミス」はだいたいこれです。
一番凡例が多いものでもあります。

マーキング

カードに判別がつく傷やマークがついている不正。
意図的なものになると出場停止以上のペナルティが出る場合も。

デッキの問題

60枚デッキ。同名カードは4枚まで。
レシピ通りのデッキなのか?
不正があるときは相応のペナルティがあります。
試合開始前の発覚なら軽く済むことがあります。

試合のテンポ

早すぎないか?遅すぎないか?を重視します。
原則セルフジャッジで行われる予選では不正の判断が難しいですが、
配信卓や決勝トーナメントなどでは卓付きのジャッジがいますので、
随時対応します。

遅刻

試合開始時に席についていなかった、など、
敗北になる場合があります。
1回戦目・昼休憩後によく見る不正です。

非紳士的行為

イカサマ・誹謗中傷など、
勝ちに固執するあまりやってしまう不正。
程度によっては出場停止になります。

名前からニュアンスが理解できるものもありますが、実際言語化してみると「そんなものもあるのか」ってなったりしますね。

事例から見る修復・裁定の例

次に、実際にクイックチャートに書いてあることを、
事例を挙げてイメージしやすくしていきます。

プレイエラー

考え方

まずはプレイエラーの下の方にある項目「※考え方」を確認します。

“不当に得た情報量が少なく、盤面が容易に完全に修復できる場合は、警告以下としている。”
“そうでない場合は、サイドペナルティ以上も視野に入れて検討する。”

とあります。

不当に得た情報」とは、本来の手順では知りえない情報のことです。
たとえば、ゲーム中初めて山札を見たとき、サイド落ちを確認することができます。
使えないカードで山札を見ていた場合、この「何がサイド落ちしているか確認をした」ことは不当に得た情報にあたります。
たとえば、バトルポケモンがきぜつして、新しくバトルポケモンを出す前に、番の最初の山札を引いた場合、「”次のドローによって何を引くか”を知った状態でバトルポケモンを選べる」ことは不当に得た情報にあたります。

盤面が容易に完全に修復できる」とは、プレイエラーが起きる前の状態に戻れるかどうかを確認することです。
たとえば、誤ってサイドを多くとってしまった場合、「とったサイドがわかっている」ならば、「とったサイドをサイド置き場に戻す」ことができれば修復可能です。
たとえば、ムゲンゾーンがはたらいていないのに6匹目のベンチポケモンを出してしまった場合、「出したポケモンを手札に戻す」ことで修復可能です。

抑えるべきポイントは、
「不当に得た情報」が何か
「完全に修復」ができたか

これらがクリアできていれば警告以下、そうでなければサイドペナルティ以上を検討
となります。

程度ごとに事例を確認していきます。

シャッフルミスで、相手のデッキをシャッフル時に切り損ね、意図せず1枚カードが見えてしまった

 →注意~警告が妥当

サイドを多く取り過ぎたが、まだ手札と混ざっていない。

 →注意~警告

サイドを置き忘れたまま対戦をスタート。最初に気が付き、山札を1枚も引いていない。

 →注意~警告(相手側も気づかず進行していた場合、注意・警告)

サイドを取り忘れ、相手の番が始まった時に気が付いた。

 →注意~警告(相手側も気づかず進行していた場合、注意・警告)

うっかりミスというやつです。
一番最初の例はコロナ禍の今では起こりえないエラーですが、
「故意ではない」「そのまま戻せばプレイの続行が可能」
ことが争点になるプレイエラーです。
「故意」「戻せない」などの要因でサイドペナルティ以上になるエラーになりますので、しっかりと警告を出し、再発を予防する必要があります。
対戦相手にも「サイドの取り忘れに気づいていたが、自分が有利になるために指摘しなかった」などの非紳士的行為の可能性があるため、しっかりと注意・警告を出すようにしましょう。

床にカードが1枚落ちていた。確認して、どこにあったカードが落ちたのか特定が付く。

 →注意~警告

ジャッジが介入する中で一番多いエラーかと思います。
しかし注意が必要なのが、「確認して」の部分。
落としたプレイヤーの言い分だけ信じて手札に戻さないように気を付けましょう。
きちんと対戦相手にも確認を取ってから、正しい場所に戻します。
「双方の意見が食い違う」場合は、どのような状況で落ちたのか?前の手札の枚数は?双方に確認を取る必要があります。
これも「故意」の可能性を検討し、警告を出せるように心構えが必要です。

サポートを先攻で使おうとした。盤面の完全な修復が可能で、プレイへの影響は低いと判断。

→注意~警告

サポートのマリィを使った時、お互いの手札を切って山札の下に置いた時に、先攻であることに気づいた。盤面の完全な修復が可能で、片方のプレイヤーが不当に有利になっていないと判断。

→注意~警告 (相手側も気づかず進行していた場合、注意・警告)

どちらも同じようなことが書いてありますが、大事なのはマリィの項。
先攻であるため、山札の下に戻した枚数は容易に判断が可能です。
引き直しが発生していないかなどをきちんと確認し、正しい手札に復元を行いましょう。
対戦相手にも「使えないサポートに従って山札に戻してしまった」過失があるため、注意・警告を行います。

カードを引いた時、規定より多い枚数を引いてしまった。(カード情報を見た)
多く引いたカードがどれか、双方認識があっていて、対戦は進んでいない。

→注意~警告

盤面の情報の読み取りを誤り、正しくないダメージ計算を行ったまま試合が進行。
巻き戻し可能で、双方の認識もあっている。

→注意~警告 (相手側も気づかず進行していた場合、注意・警告)

「故意でないか」「修復可能か」を争点にしています。
相手にも過失が確認される場合はしっかりと注意・警告を行いましょう。

山札を引く時に、規定より多い枚数を引いてしまった。
多く引いたカードがどれか双方で認識が食い違っている。もしくはわからない。

→サイドペナルティ以下~複数サイドペナルティ以下が妥当

急に重くなります。
たとえば、溶接工で4枚カードを引いてしまい、合計の手札が6枚になって、手癖でハンドシャッフルをしてしまった。
この場合は「引いてきたカードがわからない」ため、「修復不可能」となり、「サイドペナルティ以下」の裁定を出す必要があります。
この際は、「本来あるべき枚数」に復元が必要です。溶接工後の合計の手札が5枚が正しい形になるので、手札からランダムに1枚をジャッジが選び、山札に戻す、などの処理が必要になります。
4枚引いてきたカードが4枚とも残ってしまうかもしれませんし、都合よく4枚目のカードが山札に戻るかもしれません。
その不当な有利な状況を与えないためのサイドペナルティとも考えることができます。
「手札が5枚」である状況に修復しつつ、「完全に修復が不可能だった」ため、裁定を出します。

サポートのマリィを使った時、誤って手札を山札に戻してしまった。盤面の修復が困難かつ片方のプレイヤーが不当に有利な状況になったと判断。

→サイドペナルティ以下~複数サイドペナルティ以下

これはマリィで「山札をシャッフルしてしまった」パターンです。
これは元の手札を証明することはビデオ判定かジャッジが判断する以外にありません。
ジャッジとして呼ばれた時にはもとの手札は山札の中ですので、
「修復不可能」となります。
ただし、ペナルティを出すだけでは終わりません。
「できる限り修復をすること」が大事ですので、クイックボールで直接手札に加えたなどの方法で、1枚でもお互いに手札が判明しているのなら、その1枚は山札の下に送るなどの処置を取りましょう。
その状態を作ってから手札を引いてもらい、サイドペナルティ以下の裁定を出しましょう。

同じ番にサポートを2回使った。2回目に使用したサポートがジャッジマンで、両者とも手札をシャッフルしてしまった。

→サイドペナルティ以下~複数サイドペナルティ以下

こういうのでジャッジ呼ばれると天を仰ぎます。ああ……ってなります。
結論から言うと、ロロたんぬがこの状況に直面した場合、
復元できる手札の状況をできる限り復元したうえで、
2回目のサポートを使った人に複数サイドペナルティ
対戦相手に1枚のサイドペナルティを出します。
理由としては、
2回目のサポートを使えないのに使った→不当に有利な状況
手札をすべて山札に戻してしまった→修復不可能
が重なっていることと、
対戦相手も過失といえど、同様に修復不可能な状況になっているからです。
人によってはジャッジマンを使った側に1枚のサイドペナルティを設ける場合もありますが、
「修復不可能」であり、「不当に有利な状況」であることは差し引きで勘定できるものではないため、双方にそれぞれのペナルティを課すことが妥当だと考えます。

サイドを置き忘れたまま対戦をスタートし、番が進行している。

→サイドペナルティ以下~複数サイドペナルティ以下 (相手側も気づかず進行していた場合、注意・警告)

この「番が進行している」がかなりポイントで、
たとえば、
山札を引いた直後に気づいたのか、
クイックボールで山札からポケモンをもってきてから気づいたのか、
紆余曲折を経てポケモンをきぜつさせた時に初めて気づいたのか、
などで変わってきます。
ロロたんぬ的には、「山札を引いた直後」であれば、修復可能と考え「今ある山札の上から6枚をサイドに置いて、警告」にとどめ、
「クイックボールで山札からポケモンをもってきた直後」であれば、「一度もってきたポケモンを山札に戻し、サイド6枚を置いてから、クイックボールの処理をやり直して警告」とし、
「サイドに埋まるはずだったかもしれないカードを使って相手のポケモンを倒してしまい、もうどうにも戻せない」という状況になってしまった場合はサイドペナルティまで検討します。
クイックチャートに乗ってる!サイドペナルティだ!というよりは、何をもってして「不当に有利」「修復不可能」とするかはジャッジに委ねられている部分だと感じます。
ルールをがちがちに固めすぎてしまうと、例外が発生してしまった際に対処が難しくなってしまうため、チャートは”ある程度幅をもたせている”という面もあります。

サイドを(多く)取り忘れたまま複数回に渡り、番が進行。

→サイドペナルティ以下~複数サイドペナルティ以下 (相手側も気づかず進行していた場合、注意・警告)

多く取ったまま進行していた場合は「修復不可能」だったり、「不当に有利な状況」だったりするので重くなる場合があります。対戦相手も、取ったサイドの枚数を確認するように注意をしなければなりません。
少なく取った・取らなかった場合は、正しいサイドの枚数に復元します。取らなかったのはプレイヤーの落ち度なので、不当に有利になることはありませんが、修復がやや面倒です。
例えば、直後に博士の研究を使っていれば、「取るべきだったサイド」はトラッシュにあるべきですし、
マリィを使っていれば「サイド」は山札の一番下にあるべきですし、
クロバットVのナイトアセットで引く枚数は、その「サイドの枚数」ぶん少なくなっていたはずです。
サイドを取るべきだった番から振り返り、完全に修復が可能であれば警告、クロバットVの例のように修復が不可能だったり不当に有利な状況がうまれた場合はサイドペナルティを検討する必要があります。

ふつうのつりざおを使い、相手に選んだカードを見せずに山札に戻した。再確認が不可。

→サイドペナルティ以下~複数サイドペナルティ以下

プレイエラーだけでなく、非紳士的行為でもあります。
慣れた人ほどプレイを簡略化したり、時間を優先しすぎる部分があります。
これは「確認を怠った相手が悪い」と言わず、しっかりと確認を取ってもらうよう、注意を促しましょう。

ポケモンVではないポケモンを、ポケモンVと勘違いし、残り2枚のサイドを取り切るなどして、本来勝利していないのに勝利したと勘違いした。そしてジャッジ、スタッフが来る前に、一方的に盤面を片付けてしまったため、盤面の修復が不可。

→敗北

よくあるのが、
盤面を片付けた→スコアシートを記入した→いざ出すぞ……あれ?って時にジャッジコールをもらうこと。
盤面を片付ける前であれば修復が可能だったにもかかわらず、スコアシートを書く前に片付けてしまったため、信じられる情報はスコアシートのみ。サインも書いてある。これはスコアシートを信じざるを得ません。
盤面修復が可能な場合はスコアシートをジャッジが書き直すことで対応できますので、片付ける前にスコアシートを記入してもらうよう声かけを実践しましょう。

問題の「一方的に盤面を片付けてしまった」場合ですが、「もう一方は盤面が残っていること」が必要です。
片方のプレイヤーの盤面が残っていればある程度お互いの主張のすり合わせを行うことができます。
誤ってサイドを取り切ってしまったことが確認できたなら、敗北の可能性がありますので、上位のジャッジに連絡をしましょう。
両方とも盤面を片付けてしまい、スコアシートを書く前に気が付いた場合も、上位のジャッジに連絡してください。
ロロたんぬは両者敗北も念頭におきつつ、真摯に対応します。

マーキング

規則性はなく、シールドが全体的に汚れている

→注意~警告

→敗北以下~敗北

イベント中、無作為に選ばれたプレイヤーや、決勝トーナメント進出した方のデッキチェックを行うことがあります。
この時、全体的な摩耗がみられる場合は交換をお願いすることがあります。
作為的なものが感じられたり、非紳士的行為にあたるレベルのマーキングが発覚した場合は敗北になる場合があります。

デッキチェックのやり方はその場でも先輩ジャッジが教えてくれるはずなので、都度確認しましょう。

デッキの問題

規定枚数未満、もしくは規定枚数より多い

試合前、準備段階

→注意~注意

試合開始後
サイドが動いている状況で発覚。

→サイドペナルティ以下~敗北

レギュレーション外のカード混入または同名カードが5枚以上

試合開始前、準備段階

→注意~注意

試合開始後

警告~複数サイドペナルティ以下

デッキリスト提出があるので、枚数の多い少ない、使用可能不可能は事前に防げていますが、
対戦間でのカードの紛失や、基本エネルギーのレギュレーション違反(旧裏・eのカードは使っちゃダメ)などは起こります。
その場合、対戦開始までに修復が可能であれば注意で済みますが、対戦開始後の発覚はサイドペナルティ~敗北まであります。
ジャッジコールを受けて対応した場合、リスト通りでない時点でリスト不備→敗北扱いの可能性がありますので、上位ジャッジに連絡しましょう。

試合のテンポ

遅いプレイや急かす行為

注意~警告

故意の遅延行為

敗北~出場停止以下

プレイの速度は人によって様々です。
目安として、1プレイ(カードを選ぶなど)あたり20~30秒ほど検討していると注意の対象になります。明確な定義はありません。序盤の山札確認は時間がかかるものだし、試合終盤になるほど焦って急かす行為も散見されるようになります。
判断を仰がれたときは中立的な立場から意見できるように気を付けましょう。
クイックチャートでは警告以下か敗北以上と極端な例になっていますが、サイドペナルティを出すことも検討します。
卓付きジャッジになると、遅延行為どうかは手札や盤面からも判断できる(手札が博士の研究1枚しかないのになぜか悩んでいるなど)ため、思考時間が長い場合は注意・警告を出しましょう。
予選中、プレイを見張るように乞うプレイヤーもいます。その際は上位のジャッジに相談してください。ほとんどの場合対応できないのですが…

遅刻

集合時間に席にいなかった。

→注意

集合時間に5分以上、遅刻。

→警告

試合開始後、5分経っても来なかった。

→敗北

試合開始時、席にいなかった時点で敗北になる場合もあります。
クイックチャートはあくまで一例なので、そのイベントごとのフロアルールに従うようにしましょう。
ジャッジには不戦勝対応の職務がありますので、どのようなルールで不戦勝の対応をするかは、都度確認してください。

非紳士的行為

対戦相手への誹謗中傷とも捉えられる行為を確認できた。

→サイドペナルティ以下

相手の手札を意図的に覗き込んだ。

→敗北以下~敗北

ルールを把握していないプレイヤーに対して、自分が有利になるような嘘のルールを教えた。

出場停止以下~一定期間出場停止以下

イカサマ

→出場停止以下~一定期間出場停止以下

ポケモンカードプレイヤーにはいないと思いたいですが、
勝利に固執してやってはいけないことをやってしまう人もいます。
イカサマを発見したらただちにプレイを中断させ、上位のジャッジに報告をお願いします。
コロナ禍では起こりえないですが、シティリーグなどでは観戦もできる環境があると思いますので、プレイヤー同士のコーチングにならないように予防することも大切です。

最後に(時間がない人向け)

物量でなぐりすぎて申し訳ないです。
長くなりましたが、ルールクイズとは別に、
CLのジャッジをやるうえでのイメージトレーニングは必要だよというお話でした。

CLにおけるジャッジ活動をまとめると、
・ジャッジの業務は「イベントを円滑に進行すること
 →予防し、修復し、場合によっては裁定を出す。
・裁定を出す時はペナルティクイックチャートを参考にする。
・パニックにならないよう、イメージトレーニングをしておく。

プレイをするのも人間なら、ジャッジをするのも人間です。
裁定を出すことに対して、またはルールについて不安に思うことがあったら、同会場内に100人くらいいるジャッジに相談してください。
カード個別の裁定を覚えることも大事ですが、
イベントが円滑に進行してさえくれれば全体としては助かります。

「やってみようよ」と言うわりには敷居をあげていて申し訳ないのですが、
ジャッジという業務は、歩き回る部分での体力面と、
時には心苦しい裁定を出さなければならない精神面と、
両方からゴリゴリに削られるものです。
それを覚悟の上で続けているジャッジは本当にポケモンカードが好きな証拠だし、敬意を表すべきと考えます。

ロロたんぬは職業の延長くらいにしか思ってないですが、
普段デスクワークが主な業種な方や、家庭のある方がわざわざ休みを2,3日ここに費やしているのはすごいなって思ってます。

ぜひCLやシティリーグでのジャッジ稼働を検討している方は、
「一度やってみる」チャレンジ精神や野心は大いに持ちつつ、
「プレイヤーとジャッジ」の精神的バランスを取れるよう、
コントロールできるようになってください!(自戒)

ではでは
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