時間がない!でもポケカが強くなりたい!という方やはじめたばかりの方のために!1月のシティリーグで優勝したラウスさんに強くなる方法をインタビューしてきました。
前編では、勝つことの先にある目標を持つこと。なるべくいろいろなイベントに出てギブ&テイクできる関係をつくることを話してくれました。
後編ではポケカ以外のことをポケカに活かす考え方や、ゲームとカードのポケモンの関わりについて話してくれました!!

西野ラウス@raus_v_p

ニコ生では『夏統一』、『ドン統一』などの統一パを使用していたほか、PDWでペリッパーを加速させたりアイスを積み重ねたりしていた。
2017年4月の春ファンでは『スマブラデッキ』で惜しくも選外。その後夏ファンでは『夏の終わりデッキ』で2位と大躍進。冬ファンでは『ランドロスクセロシキデッキ』で3位入賞。ヤナトイでもデッキ賞を獲得するなどファンデッキにも定評がある。

前編はこちら

ラウスさんに大人のポケカ戦略を聞いてきた。強くなるためのギブ&テイクとは

ビジネスを1%でもポケカに取り込む

 
 
―—ラウスさんは、常にポケカに100%集中という感じではないですが、どうしてそういった考え方ができるのでしょうか。
 
 
ラウス  ポケモンカードは仕事ではないからです。
 
 
―—仕事ではない…
 
 
ラウス  もちろん、皆さんかなり真剣にポケモンカードを練習されているとは思うんですが、現状、お金が関わっているわけではないですよね。今後どうなってくるかはわかりませんが。
 
 
―—そうですね。
 
 
ラウス  その点仕事というか、ビジネスでは失敗したら自分の稼ぎに跳ね返ってくるじゃないですか。生きることに関わってくるほうがシビアな世界だと思うんですよね。

なので、ポケモンカードとは関係ないけど、ビジネスの世界で世の中にすごく良い影響を及ぼしている人の考え方を1%でもポケモンカードに取り込むことができたら劇的な強化になると思うし、5%取り込むことができたら、日本一にもなれるんじゃないかと思っています。
 
 
―—強いチームを組む人の考え方って、逆ですよね。なるべく高いモチベーションでなるべく長い時間練習する人だけに限定するような考え方だと思うんですけど、そういう点だとポケカ外のことをポケカに活かすというのは滅多に聞かない考え方ですね。
 
 
ラウス  ポケカのこともそれ以外のことも、やっぱり全部は繋がっていると思ってるんですよね。VG(※1)やっていたときも将棋から学んだ考え方が結構あります。
 
 
※1 …VideoGameのポケモン。本編である携帯機のポケモン対戦のこと。

 
 
―—繋がっているというのは
 
 
ラウス  将棋の羽生善治先生がスポーツ記者の人と対談されている『歩をと金にかえる人材活用術』という本を読んだことがありまして。

企業の人材活用の話題を羽生善治先生とスポーツ記者の二宮清純さんが話すという内容で、それがすごく勉強になったんですよ。
そこから学んだことは、何か1つのことについて精通して高い視点を持っていると、他の分野にも応用することができるんだなと思いました。

そういう活かし方をポケモンカードでもできればすごく良いと思います。何より仕事にも活かせるので。


いい本でした
 
 
―—ポケモンカードを強くなろうと思った時に、1分でも多くカードに触ろう、じゃなくて他の分野で成功している人もしくは自分の得意な分野から考え方を取り入れようということですよね。
 
 
ラウス  そうですね。でもそれには多少はポケモンカードの知識もないといけないので、初心者のうちはとにかく練習するのも大事だと思います。
そこからだんだんと他の分野の考え方を取り入れてやってみると、すぐには結果は出ないかもしれないけど、いずれは自分の武器になるんじゃないかと思います。
 
 
―—いずれにしろ、ポケモンカードの練習時間をあまりとれない人にとってはそういう戦略を取るしかないということもありますよね。
 
 
ラウス  そうですね。自分自身も練習時間が多くとれない中でどうやったら勝てるか考えた時にこの考え方になりました。
でも今回のように結果を残すこともできたのであながち間違ってはいなかったのかなと思っています。まあ、もちろん負けることもありますけどね。
 
 
―—将棋から取り入れている考え方は他にもあるんですか
 
 
ラウス  羽生先生の考え方で、棋士に必要なことが『決断力』『大局観』だとおっしゃっているんですね。
その中で『決断力』は年とともに衰えていくのでそれを『大局観』で補っていかなかければいけないということが書かれています。
 
 
―—『大局観』とは?
 
 
ラウス  戦況を俯瞰で考えることですね。今有利なのか不利なのかを捉える力でもあります。
この『大局観』は経験を積むことでしか身につかないことなので、ポケカに応用すると色々なデッキをなるべく触って試してみるということに繋がります。

あとは実際に将棋も指しています。詰め将棋もポケカに応用できますし。
 
 
―—なるほど。
 
 
ラウス  逆に、自分がポケモンカードのことがこんなに好きだっていう情熱を1%でも仕事に活かすことができれば、それもまた最強だと思います。
 
 

VGとポケカ。真逆の静と動。

 
 
―—VGとポケカの関係について聞かせてください。
ラウスさんがシティリーグで優勝された、その一か月前にsummitさんが優勝されましたね。

 
 
ラウス  おめでとうございます。
 
 
―—お二人は普段一緒に練習されているんですよね。
 
 
ラウス  そうですね。先ほど話したブースターデッキの新潟でも一緒に練習しました。
 
 
―—お二人とも、もともとVGをメインでされていた方で、オフを主催しているという共通点もあり、そういったバックグラウンドが今回の優勝にどう関係しているのか聞かせていただきたいです。
 
 
ラウス  明確な要因はわかりませんが、共通点としてはsummitさんも自分も一番よくいっていたオフが交流オフなんですよね。
 
 
―—交流オフというのは。
 
 
ラウス  カードは基本的に対戦するイベントがメインですよね。
VGのポケモンはカードに比べて絶対的に人口が多いです。なので一口にオフといっても対戦をメインにするんじゃなくて、映画を観たり、特殊ルールで対戦したり、ポケモンについて話して友達をつくるためのオフが結構開催されていて、二人ともそっちの方によく参加していました。

そもそもVGは家で無限にオンライン対戦ができるので、ポケカと違ってわざわざ外に出なくても対戦はできるんです。
それでもポケモンのオフに参加する人には二種類のタイプがいます。
一つは対面して対戦して情報交換をしたほうが強くなれるという、『強さ』を求めている人たち。
もう一つは顔を合わせて対戦したほうが楽しいと思っている人たちです。
 
 
―—ラウスさんもsummitさんも後者の目的が強かったんですね。
 
 
ラウス  そうですね。
そして、対面で会話をするという意味だと交流オフの方がポケモンカードに近いと思います。

summitさんの強さが他にあるかはわからないですけど、少なくとも彼も友達がめちゃくちゃ多くて、そのすごく広い交流のなかからポケモンカードの練習会を開いたり、いろいろな人から学んで知見を広めて強くなってると感じます。
 
 
―—忙しいから一戦一戦の集中力がすごいというのもあるんでしょうか。
 
 
ラウス  もちろんそれもあると思いますが、何よりsummitさんはポケモンがめっちゃ好きなんです。
好きだから集中するし好きだから負けたくないという気持ちが強いんだと思います。
 
 
―—ラウスさんはそうでもないんですか。
 
 
ラウス  自分はポケモンカードで一番強くなりたいという気持ちはなくて、仕事も大事にしたいと思っています。

でも例えば、『一番親しみやすい初心者向けポケカイベント』とか、一部の分野で一番になりたいとは思っていますね。
 
 
―—では、VGの対戦をしているとポケカが強くなるということではないんですね?
 
 
ラウス  強いて言うならポケモン一匹一匹にたいして愛着が出てきたりしますが(笑)

要求される読みが全然違うんですよね。
VGだと相手と同時に行動を選択するので心理戦の面があります。相手がこれをしてくるだろうからこれを選択するみたいな。
相手の状況を読んで強気に行動したら勝てるとかありますし。
 
 
―—同時に披露するという意味ではじゃんけんと近いですね。
 
 
ラウス  そうです。ポケモンカードは自分のターン相手のターンがあるのでそれは全くないじゃないですか。
逆にポケモンカードは弱点っていうシステムがあるから、勝てない相手には基本的に勝てない。要は対戦前にじゃんけんが終わっている状態です。
対してゲームはほぼすべての対戦相手の組み合わせに対して、こうすれば勝てるという回答を事前にある程度用意することができるはずです。
 
 
―—構築の考え方もプレイングの考え方も全然違うんですね。
 
 
ラウス  なので、むしろ個人的には並行してやるのはおすすめしていないです。
 
 
―—ポケカの難しさはどんなところですか。
 
 
ラウス  環境がかなり動的だということです。
VGは新ポケモンが入って環境が大きく変わるのが三年に一回とかですし、ルールが変わるのも一年に一回程度です。
ポケカは今は一カ月に一度環境が変わるので、限られた時間内で一番勝率の高い構築を突き詰めるのが難しいですよね。
 
 
―—動的な環境で、静的な対戦なのがポケカ。
静的な環境で、動的な動きをするのがVG。

 
 
ラウス  そうだと思います。
 
 

今後のポケカの世界のひろがり

 
 
―—VGのプレイヤーだった人でポケカを始める人が増えていると思います。
 
 
ラウス  全体では増えてると思います。自分の周りだとみんポケカのあとくらいから徐々に入ってきているのでいきなり増えたとは感じませんが。
 
 
―—去年のはじめくらいからVGで人気のある実況者の方々がポケカを始め出して、スタートデッキが発売されて、xyが落ちてから一気に増えたという印象があります。VGのオフでもかなり遊ばれていますよね。
 
 
ラウス  そうですね。それは何でかというと、普段みんな家でVGをやっているから違うことで遊びたいという要因があって、そういう時に遊ぶのにちょうどいいんでしょうね。
 
 
―—今後そういう方たちがラウスさんのようにポケカメインになることはあるんでしょうか。
 
 
ラウス  あるとは思いますが、一概にそうは言えないと思います。
すでにオフでつながったコミュニティがある人はわざわざポケカのすでにあるコミュニティのイベントにはあまり参加しないでしょうし、
やっぱりVGで強くなるにも練習しなきゃいけないので、ポケカは息抜きで遊んでいる人も多いと思います。
ある種、お家で遊んでるのと一緒だと思いますよ。

とは言っても、自分から見えているVG勢もオフに参加している一部のVG勢でしかないので、何とも言えないですね。
だから今後はVG勢がどうこうとかじゃなく単純にゲームとしてポケカが広がっていくんじゃないかなと思います。
 
 
―—最後に、この記事を読まれた方に何か伝えたいことはありますか。
 
 
ラウス  競技として対戦してもしなくてもいいので、ポケモンが好きな人にもっとポケモンカードを触ってほしいです。
ルールを知らなくても右下にあるフレーバーテキストを読んでもらえるだけでもすごく楽しいと思うんです。図鑑に書いてあるんですけど、そうじゃなくてイラストと一緒になったカードを実際に手に取って読むとすごく良いんですよね。


同じ水ポケモンでも全員ハイドロポンプではなくそのポケモンらしいテキストをしている

ポケカは本当にポケモンの世界観を広げていると思います。
ポケモンカードのそういうところが好きです。
 
 
―—本日はありがとうございました。
 
 
ラウス  ありがとうございました。

このあと、ラウスさんと5世代6世代の対戦の話題でひたすら盛り上がりました。やはりインタビューの中でも随所に「ポケモンが大好き」であることがにじみ出ています。ラウスさんの今後のご活躍を祈っています!

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