アローラ! へるです!
4/29に開催された「WCSを楽しむ会」に参加してきました。前編に引き続き、そのレポートをしていきたいと思います。
前編のこちらと合わせてご一読ください。
座学が一通り終わり、再び日本語禁止の実践に入るところから後編は始まります!
実践:日本語禁止対戦
さて、一通り教わったところで再び英語のみで実践です。
このイベントの面白い試みとして、“全員があらかじめ渡された外国人の名札をつけています”。
私には「クリス」という名前が割り振られたのですが、名前は全てアルファベット順で命名されており、マッチングの簡略化や質問を順番に当てる点でも活用されていました。
これは英会話教室で実際に使われている手法だそうですが、それを他分野で活かすHKさんの引き出しの広さを実感します。元々の立場を一切排除し、新鮮な気持ちで取り組める素晴らしいアイデアでした。
ここからはクリスとして複数回のBO3を行なっていきます。流石に普段対戦中に使っている言葉を知れたこともあり、だいぶそれらしく対戦ができるようになっていました。
が、ここで会場内を歩いていたHKさんにより、更に一歩踏み込んだ状況に突入します。
HKさんは対戦中の卓前で立ち止まると、双方のプレイヤーそれぞれに“英語で質問をし始めた”のです。
質問されている内容は
・このカードの技/特性/効果を説明してほしい
・今どういう状況なのか説明してほしい
・何故このカードを選んだのか説明してほしい
などなど。勿論回答は英語でしなければいけません。日本語を言うと訝しげな表情をされます。
これには私含め多くのプレイヤーが苦戦していました。何を聞かれているのか分からなければ答えられない上、もし分かったとしてもどう説明していいか分からないのです。
回答が伝わった場合はいい反応が貰え、伝わらなかったりどうしても分からない場合は回答例を教えてもらうという流れ。なんとか知っている単語を片っ端から言って回答しましたが、大体トンチンカンな伝わり方をしてしまいました。
HKさんがこのような方法を取った理由として、過去ご自身が出場された時の経験があったようです。
・あまり使用されていなかったカードを使った時、対戦相手から説明を求められた
・ジャッジを呼んだ時に盤面の説明をする必要があった
・対戦終了後に雑談をする機会があった
特に上二つはゲームの進行に関わる重大な問題です。誤った情報を伝えれば妨害行為と見なされかねないですし、うまく説明できないと相手の一方的な見解のまま説明されてしまいます。
ジュニアリーグのプレイヤーにはハードな質問だったと思いますが、全てはゲームをフェアに戦う為の準備です。当日は己が説明せざるを得ない状況でしょうし、せっかくの晴れ舞台に不利益を被ることになっては後悔が残るかもしれません。
HKさん曰く、“カードゲームの本質はカードをどこからどこへ移動させるか”で、それを説明できれば伝えることができるとアドバイスをいただきました。
- 《ハイパーボール》=「デッキ」から「手札」へ移動。
- 《ネストボール》=「デッキ」から「ベンチ」へ移動。
- 《レスキュータンカ》=「トラッシュ」から「手札」へ移動。
どこからに該当するのが「from(フロム)」で、どこへに該当するのが「to(トゥ)」です。上記の例を変化させてみると
- 《ハイパーボール》=「from deck to hand.」
- 《ネストボール》=「from deck to bench.」
- 《レスキュータンカ》=「from discard pile to hand.」
こんな感じ。カードの動きを意識すると移動元と移動先を当てはめるだけなので、英文にしやすいですね。
また、カードの効果を説明する時は“文章を分解して翻訳する”ともアドバイスをいただきました。
実際にイベント中に出た「鍛冶屋=Blacksmith(ブラックスミス)」の例をそのまま掲載します。
自分のトラッシュから炎エネルギーを2枚選び、
自分の炎ポケモン1匹につける。
これを相手に説明する場合、まず「何をする効果なのか」を抽出し、続けて先ほど挙げた「どこからどこへ」を見つけて分解します。
-
・「炎エネルギーを2枚」つける
・「自分のトラッシュ」から「自分の炎ポケモン」へ
↓
・Attach 「2 fire energy」
・from 「my discard pile」 to 「my fire pokemon」
会場で出た答えも概ねこんな感じだったと思います。
日本語と英語では文章構成がそもそも違うので、最初から全て翻訳しようとすると難しい。故に一つずつ要素を分解して翻訳していくのがコツとおっしゃっていました。
この解説が非常に分かりやすく、頭の固い自分にとっても衝撃的でした。ポケモンカードを楽しみながら英語を勉強できるとは…
ただ、まだ基本的な英会話の用語を覚えきれていないこともあり、未だおぼつきません。WCSの実際の動画を見てもこの状況に対応できるほど余裕もなさそうです。
これからも勉強を続けてしっかりと解説できるように努めていきたいと思います。
海外遠征の心得
イベントの流れは以上の通りに進んだのですが、座学ではもう少し別の話が出ていました。それは“海外遠征へ行く時の心得”についてです。
言語の壁もありますが、海外旅行自体が初めての人にとっては環境の変化も大きい要素です。
いざ現地に向かった後に困ることがないよう、HKさんやWCS経験者の経験を元に教えていただきました。一部掲載します。
飛行機の長時間フライトを耐えよう
最初の難関が飛行機です。アメリカまでのフライト時間は12〜14時間なので、往復で1日を費やすくらいの長旅になります。
その時間を闇雲に過ごすのもかなり酷なので、暇つぶしの道具は必ず持っていきましょう。映画がたくさん入ったタブレットや、新しく買ったゲームがオススメされていました。
また、長時間座っていることによるエコノミー症候群にも注意しましょう。数時間に一度席を立ってトイレに行ったり、軽く体をほぐしたりするといいですね。
水分を真っ先に調達しよう
現地についてホテルでチェックインを済ませたら、まずは“水分を確保する”ことに全力を尽くします。近隣のスーパーを探しましょう。
海外の水道水を飲むとまずお腹を壊してしまうので、スーパーでミネラルウォーターをたくさん買っておくと安心できます。目安として1週間2人で滞在して12ℓほど消費したそうです。
日本と違って自動販売機の数も極端に少ないらしいので、水分を持ち歩く意味でもミネラルウォーターが必須だとか。
食事面に関しても、お米を筆頭とする和食は手に入りづらく、あったとしてもかなり割高なので食べる機会は少ないでしょう。パンやサンドイッチを食べることに慣れておくと楽かもしれません。
ハンバーガーのファーストフード店が向こうにも多くあるので、注文の仕方を簡単に覚えておくと便利ですね。ジュースやハンバーガーのサイズが凄まじく大きいらしいので、旅の思い出に注文してみるのも面白そうです。
一人で行動しないようにしよう
日本とアメリカでは治安を筆頭に大きく意識が変わるので、慣れないうちは絶対に一人で行動しないようにしましょう。人気のないところには絶対に行ってはいけません。
ちなみに、子供だけで行動していると「虐待」と見なされて保護者の罪となります。一人で置いていくことはせず、必ず誰か大人がついている必要があります。
これに関してはプレイヤーと一家族だけでなく、参加者同士で協力し合うとやりやすいかもしれませんね。日本代表という一つのチームで一致団結して皆で戦うイメージが近いかもしれません。
他にも、クレジットカードで大体の買い物が済むので持っていると便利だったり、空港やショッピングモールでポケカが買えたりと色々教えていただきました。
この知識が活用できる日が来るよう、私も引き続き頑張っていきます。
イベント参加後の感想
ただ対戦するだけでなく、色々な知識を教わりながらの濃密な1日となりました。正直ここまで本格的な会だと思っていなかったので、ただただ圧倒されていた感覚があります。
分かったのは“対戦するだけならなんとかなりそう”ということです。座学の項目でも何度か書いていますが、カード名と用語さえ分かればゲーム自体は進行できます。
しかし同時に、“英語を話せたらもっと面白い”ということも理解しました。
ポケカという同じ趣味を持っており、それに真剣に取り組んでいるプレイヤーが世界各国から来る一世一代の大舞台です。少しでも相手とコミュニケーションが取れた方が楽しいひと時が過ごせますし、最高レベルの海外事情を聞ける機会も中々ありません。
個人的な感想としては、うまく話せない分直接的な言い回しになるので、素直な会話ができるのも魅力に感じました。取り繕うことなく感情が表現できるのは想像以上に心地よいものです。
英語はあくまで「手段」であり、覚えることが目的ではありません。ゲームのルール、カードの種類を覚えてから対戦するのと同じで、理解すればするほどより面白い世界が見えてきます。
これは勉強する上でのコツでもあります。ただ覚えろと言われて頭に詰め込むよりも、興味があって熱中できた方が自分の知識になります。
HKさんが繰り返しおっしゃっていましたが、海を越えた先に友人ができるという経験は大きな価値を秘めています。WCSを通じて仲良くなった友人とより親睦を深める為、英語を学ぶのだと。
終始一貫した強い信念を感じ、それが形となったのがこのイベントなんだなと感じました。ただ教わるだけでなく、実践を通して何が自分に足りないのかを理解できるイベントは早々ないと思います。
次回の開催は未定ですが、冒頭で挙げたWCS参加を目指している人や、英会話を会得したい人が一歩踏み出すのにオススメのイベントです。独学に抵抗がある場合は是非参加してみてください。
余談
次の機会に参加する場合は、“英語版のプロキシカードを作る”のをオススメします。英語で何が書いてあるのか分かりやすいですし、カードの名前を覚える必要がありません。
加えて“日常会話の簡単な挨拶、世間話の英文と回答を予習”しておくとよいでしょう。調子を聞いたり、出身地の確認をしたり、好きなポケモンを聞いたりくらいは聞けると話の種にはなります。
プレイしていると不足している知識が自ずと見えてくるので、分からなかったら調べて実践する…を繰り返せば少しずつ会話も上達すると思います。
以上で「第1回WCSを楽しむ会」の参加レポートを終わります。
貴重な場を用意していただいたKZさん、そして講師として様々な体験を届けてくださったHKさん、ありがとうございました。
※レポート中登場した英文及び情報にミスがあった場合、それは全て執筆した私の責任です。確認の上で修正しますので、よろしければご指摘をお願い致します。
※KZさん、HKさんにレポート執筆の許可をいただきました。ありがとうございます。