ポケカルールソングという私の大好きな動画があります。
その曲の歌詞はこのように始まります。
ポケカはお気に入りのポケモンたちでバトルするゲームだ
果たして、本当にそうでしょうか。
そのようにみんな遊んでいるでしょうか。
気が付けば多くの人は
強いといわれているカードを使い、
誰かが使っているデッキを使っているのではないでしょうか。
もちろんそれが悪いと言いたいのではありません。
バトルに勝つためにポケモンの組み合わせを考え、ひたすら練習することもポケモンカードの面白い要素です。
しかし私は、ポケカの楽しさは勝つためのデッキを組むだけではないと思います。
今日はみんながなんとなく使っているけどちゃんと知らない言葉、
ファンデッキ
という言葉について考えていきましょう。
※この記事は2017年11月8日に行われたポケカプレゼンオフで私トイがプレゼンした内容をベースに記事に起こしたものです。
ポケカプレゼンオフに関してはこちら⇒ニモノート【レポート】第1回ポケカプレゼンオフ[20171112]
1章 ファンデッキってなに?
『ファンデッキ』という言葉、トレーディングカードゲームを遊んだことがある人なら1度は聞いたことがある言葉ではないかと思います。
しかし、この言葉の意味をちゃんと説明できるでしょうか。
おそらくできる人は少ないと思います。なぜなら、媒体によって様々な説明がされており、人によってこの言葉の用法に非常に幅がある言葉だからです。
上のスライドにもありますが、『ファンデッキ』の『ファン』は、
・fun …楽しみ、面白さ、おもしろいこと
・fan …熱心な愛好者
のどちらなのでしょうか。答えられない人も多いと思います。
この章では、そんな『ファンデッキ』という曖昧な言葉について考えていきます。
『ファンデッキ』に関する様々な説明
Wiki「トレーディングカードゲームの用語一覧」より
⇒引用元
ファンデッキ
デッキの流行、強弱とは無関係に好きなキャラクター、部族若しくは色などを用いて構成されたデッキ。特にコミック、アニメなどがモチーフとなっているTCGの場合、主要キャラのカード、若しくはキャラが劇中で使用するユニットを用いて構築される場合が多い。
強弱に関係なく、特定のテーマに基づいて組まれたデッキ。
赤字にした部分をまとめると、ファンデッキとはつまり「作り方」だ。ということが書かれています。
はてなダイアリーより
fan deck
トレーディングカードゲーム用語。お遊びや趣味の要素を主目的にして構築されたデッキを指す。
コンセプトに基づいたデッキ名やコンボ名が付けられていることが多い。
お遊び目的であるため、実戦に耐えるほどの強さは備えていないことがしばしば。
なお、ファンデッキの要素を持ちながら実戦レベルとして活躍するデッキは通常ファンデッキとは呼ばない。
注目すべきは赤字の部分です。ファンデッキは「強さ」によって定義されるものであるという考え方です。
実戦レベルとして機能する強さを備えていないこと、かつ趣味の要素を目的に組まれたデッキをファンデッキとしています。
MTGwikiより
ファンデッキとは、勝ち負けを主体としたデッキよりも遊び心を重視したデッキのこと。
その趣向からデッキパワーはトーナメントレベルのデッキより劣ることが往々にしてあるが、ファンデッキを定義付ける上で、デッキとしての強さは関係ない。非効率的なコンセプト、または、環境に即していない等で、勝てないデッキすべてがファンデッキではない。トーナメントレベルに至っていないデッキの蔑称として使うのは好ましくない。
ファンデッキを使う側としては、「ファンデッキだから」というのを負けた理由にすると、「手加減してあげた」等、相手の勝利を否定する発言と解釈され、相手を不快にさせる場合があるので注意したい。もちろん、勝った際に、「こっちはファンデッキ使ってるのだから勝ってくださいよ」というのは言うまでもない。ファンデッキの本旨は、遊び心を重視することであり、勝ち負けを否定することではない。
この定義では赤字の部分で先ほどのはてなダイアリーの定義を否定しています。
「強さ」は無関係で「遊び心を重視したデッキ」つまり「目的」に主眼が置かれています。
さて、ここまでに3つの定義を紹介しましたが、どれも微妙に違った考え方なのでどれを信じていいのかわかりません。
…そういえば、ポケモンカード公式は「ファンデッキ」について言及したことはあるのでしょうか。
実はあるんです。それも今から20年まえに。
ポケモンカード公式による定義
かつて『ポケモンカードトレーナーズ』という書籍がありました。
まだインターネットも十分に発達していない時代、ポケモンカードのメイン層である小学生たちがポケモンカードに関する情報を得る手段は、「おはスタ」などのテレビ番組、「コロコロコミック」などの雑誌、そしてこの「トレーナーズ」などの書籍がほとんどでした。
そんな「トレーナーズ」の記念すべき1冊目(※1)の中に、『ファンデッキ工房』というコーナーがあります。
そこにはこう書かれています。
自分で考えたこだわりのデッキ。アイデアが光る楽しいデッキ。
この工房ではみんなが考えたファンデッキをどんどん紹介していくぞ!
「自分で考えたこだわりのデッキ」「アイデアが光る楽しいデッキ」それがファンデッキだと言っています。
さらに次のページに補足があります。
ファンデッキの「ファン」は英語にすると「Fun」と書く。
「おもしろい」とか「楽しみ」という意味だ。
つまりファンデッキとは、勝ち負けや強さだけでなく、対戦でお互いのプレイヤーが楽しくなるようなアイデアがこめられたデッキのことなんだ。
キミもファンデッキを作ってみないか!
とあります。
どこの誰が編集したかわからないwikiやはてなダイアリーよりも、私はこの定義を支持していますし、「ポケモンカードトレーナーズ」の中で一番好きなページです。
ここに書かれていることで重要なことは2つ。
「勝ち負けや強さだけでなく」
だけでなく、と書かれています。つまり「勝ち」や「強さ」を放棄するとは書かれていません。
勝ちを目指していても、強くても、ファンデッキはファンデッキなのです。
「お互いのプレイヤーが」
ここです。ここ。「お互いのプレイヤーが」。
「ファンデッキ」とは決して自分だけが楽しいものを指すのではありません。
「お互いのプレイヤーが」楽しくなることを目指して組まれたデッキだけがファンデッキなのです。
よくぞ1999年にこれを書いてくれたと思います。
まとめ
この「たいあたりジム」でも『ファンデッキコンテスト』というイベントを主催したり、ファンデッキを紹介する記事を何度もあげていますが、文章中で「ファンデッキ」という言葉を使うとき、私は「トレーナーズ」に書かれている意味で使っています。今後もずっとその意味で使います。
ファンデッキを推奨するということは勝ち負けを度外視することを推奨するわけではありません。
「強さ」と「楽しさ」はX軸とY軸のようなもので、どちらも両立するデッキは存在すると思っています。それ故にどちらかを言い訳にするのはどちらも追及しているプレイヤーに対して失礼だと思うというのが私のファンデッキに対する考えです。
どれくらいの強さで、どの程度遊び心を加えたデッキを使うかは、対戦する状況や対戦相手の状況などを鑑みて決定するものだと思います。
ファンデッキとは お互いにFun になるためのデッキなのです。
現状、ポケカを扱うメディアは多くありますが「ファンデッキ」を扱うメディアはほとんどありません。
しかし、私はファンデッキの記事を求めている人は実際はかなり存在していると思います。
今後は「たいあたりジム」で、より力を入れてファンデッキを紹介していきたいと思います。
第2章へ続きます。
さあ、キミもファンデッキを作ってみないか!!!