ポケモーニング!トイです。
普段はジャッジをしたり、イベント企画をしたり、誰の役にも立たない考察記事を書いたりしています。

今回は特性「イニシャライズ」を持つテツノイバラexが出てきたということで「特性ロック」について考えていきます。

ワザや特性、トレーナーズのモチーフと、その効果は緩い法則性があると思っています。
例えば「ガス」であったり、「冷気」であったり、「呪い」であったり、これまで登場した特性ロックのカードの中には他にも、なんとなく似たモチーフのカードがあります。

逆に言うと「バーニングファイヤ」という名称で特性が使えなくなるようなことはありません。
これがテキストの”フレーバー”という概念です。(僕が勝手に言ってます)

「イニシャライズ」という特性の意味をご存じの方はどれだけいるでしょうか。
調べてみると、イニシャライズ=初期化のような意味であることがわかります。
初期化と、電気のようなイメージから、無人発電所サイレントラボというようなカードと似たようなモチーフかもしれません。

今回は特性ロックという能力に対して、ポケモンカードはどのようなフレーバーをあてているのかを考察していき、また、なぜそのフレーバーになるのか、そして明確に他のフレーバーとの線引きはあるのかという点を考察していきます。
とはいっても、すべてに共通した法則のようなものはおそらくありません。ですが、なんとなくこういうことなのではないかという雰囲気を楽しむ記事になっています。

いずれにしろ、テツノイバラexを使いこなしたい!という記事ではありません。
特性ロックと対面した時の上手なプレイングが書いてある記事でもありません。
「テキストを味わう」という抽象的な楽しみ方ができる人向けの記事になりますので、暇な人だけ読み進めて下さい。

151の時もそんな記事を書きましたのでよかったらあとで読んでみてください。

【たいあたりジムexvs】ポケモンカード151のテキストに秘められたディテールに気づきたい

<過去に書いた論文>

【論文】リージョンフォームのポケモンの名称の法則と、そのポケカ的都合

【論文】『鍛冶屋/溶接工/キャンプファイヤー』なぜ炎タイプのサポートはモブになってしまうのか

はじめに:あなたの特性ロックはどこから?

ポケモンカードのプレイヤー人口が2018年ごろから大きく増えているそうです。
あなたにとっての最初の「特性ロック」はなんですか?

頂への雪道という方がもしかしたら一番多いのかもしれません。もしくは「しっこくのわざわい」のミカルゲという方も多いかな? ディンルーexは…最近のカードですが、対戦したとがない方が多そうですね。
ちょっと前からやってる方だと、やはり「かがくへんかガス」のガラルマタドガスですよね。
もう少し前だと「シャドーボックス」のミミッキュなんかもありましたね。

ちなみに私はもちろん、旧裏のベトベトンですね。
当時まだ5歳とかなので現物のカードは持っていませんでしたが、サイエンスジムのクルシマに苦しめられました。どんな名前だよ。
もしくは『目指せ!カードマスター』で金髪少女のバネッサ・クロフォードが使ってくるのが有名ですね。

なんのことを言っているのかわからない。頂の雪道なんてカードは知らない。Eレギュのカードなんか一枚も知らない、という方はたぶんこの記事を読むのは早いかもしれません。サーニーゴチャンネルの動画を1から全部観てください。

(1)化学+ガス

可能な限り関連しそうなカードを頑張って列挙しましたが、すべてのカードを網羅することが目的の記事ではないことを理解して読み進めてください。

かがくへんかガス

特性ロックを考察するうえで絶対に避けて通れないフレーバーがこの「かがくへんかガス」です。

ポケモンカード史上最古の特性(当時は特殊能力)ロックであり、ADVシリーズのベトベトンex、そしてSSシリーズのガラルマタドガスで同名の特性で再集録されている珍しい名称です。
まきちらせ!ベトベトガスというカードがあることからも、ポケモンカードにおいて、「ベトベトンのかがくへんかガス」と「特性がなくなる」が強く結びついていることがわかります。

また、ソード&シールドシリーズでは、原作に逆輸入されており、マタドガス(カントー・ガラル)の特性として「かがくへんかガス」が登場しています。
効果も同じく「場のポケモンの特性をなくす」というものです。

なんとなくそういうもんだと思って理解されている方が多いかもしれませんが、よくよく考えていくと不思議な特性です。

まず、一つ目は「なぜガスで特性が止まるのか」という疑問です。
これだけ何度も収録されているからにはポケモンカードの製作者の中で明確な意図があるはずだと考えました。

そこで調べていくと、「かがくへんかガス」に関する先行研究を発見しました。

【現役化学者が考察】かがくへんかガスってどんなガス?【ガラルマタドガス】

要約

・化学変化ガスは英語では”neutralized gas”と訳されており、つまり化学変化を中和するガスであるため、特性をなくす効果につながっている
・マタドガスの名前の由来とされるマスタードガスは「中和」する医薬品としても使われている

素晴らしい研究です。
しかし、ポケモンカードの目線に立って考えていくと時系列があっていません。

ベトベトンが「かがくへんかガス」をもって登場したのは、旧裏の3弾『化石の秘密』です。
その時点では、ガラルマタドガスがいないことはもちろん、ポケモンそれぞれに「とくせい」の概念がありません。

そんな中でカード固有の能力である「特殊能力」を止める特殊能力としてデザインされているということで、もう少し違った理由がありそうです。

※ややこしいので、以下「特性」と「特殊能力」と「ポケパワー」と「ポケボディー」をすべて「特性」で表現します。ごめんなさい。

もう一つの疑問は、なぜベトベトンなのかということです。

ベトベトンはヘドロのポケモンですが、ガスのポケモンではありません。
仮に特性を止める特性のモチーフを中和ガスにしようと考えたのであれば、搭載するポケモンはマタドガスになるはずです。
ベトベトンにしなくてはいけない理由がありません。
それなのに、ベトベトン(旧裏)→ベトベトンex(ADV)→アローラベトベトン(SM)で3回もベトベトンにこの特性を持たせているということは、
なにかベトベトンでなくてはいけない理由がないとおかしいのです。

その他のガス

その答えを探るため、ほかの類似カードを見ていきます。

代表的な類似カードは「ダストオキシン」のダストダスですね。

こちらもポケモンカードを代表する特性ロックの一つで、BWとXYで同じ「ダストオキシン」名称で収録されている珍しいカードです。
ダストオキシンは、私たちの生活にもなじみがある「ダイオキシン」のようなものだろうと考えることができ、吸うことで生物の成長を阻害したり、生命活動を低下させる有毒なガスです。

もう一つあげたいのが最近でも猛威を振るっているキャンセルコロンです。
コロンとは強い香水のようなものですが、空気中に散布して相手の特性を止めるという点では、「かがくへんかガス」「ダストオキシン」と共通項がある可能性があります。

この3つを見ていくと、想像ですが、「吸う」、「嗅ぐ」のような動作をすることで影響がある気体であるという仮説が立てられます。触れることで皮膚から影響を及ぼすようなものではないのでしょう。

また、もう一つ似たカードで、旧裏の「まきちらせ!ベトベトガス」DPtで登場した「パワースプレー」というカードがあります。

こちらもイラストを見ると、相手ポケモンに噴射しているというよりは空気中に散布しており、おそらくそれを吸った相手のポケモンの特性が止まるガスなのでしょう。

この2枚のカードからいえることは「人工的につくることができるガス」なのではないかという仮説です。パワースプレーのイラストを見ると、複数の化学物質を調合しているように見えますね。

ここまでの話を総合すると、何らかの化学変化を伴った気体が特性を止めるという共通項が見えてきました。
これなら、ヘドロがX線の影響で科学変化を起こして生まれたポケモンであるベトベトンでなくてはならない理由になります。

ここからも想像ですが、ポケモン、およびポケモンカードには「どく」状態という特殊状態の概念があります。
カードをデザインするにあたって、ダメージを伴う特殊状態としての「毒」と、特性を止め、ポケモンを弱体化させる「毒」を区別する際に、

『生物が体内で発生させる天然の毒』…ダメージを伴う「どく」
『なんらかの化学変化によって発生した毒』…ダメージ以外に作用する「どく」

というようなフレーバーにしたのではないでしょうか。
(つまりどういうこと?というのは化学が専門ではないので深く突っ込まれるとわかりません…)

つまりどういうことかというと、今後、僕の仮設ではスカタンクのおしりから出るガスを吸っても特性が止まることはありません。

(2)呪い・呪縛・災い・封印など

いや、いきなりカテゴリ絞り切れてないだろ!と思うかもしれませんが、そうでもありません。
何かしら、見えない力で拘束されるというのがここのグループです。

見えない力なので、それを人によっては「呪い」と表現したり「災い」と表現したり「オカルト」と表現したりするだけで、起こっている現象としては見えない力によって特性を制限されているということなので、同じカテゴリになります。そういうものだと思ってください。

こちらもオカルトマニアやゲッコウガなど最近のカードをはじめ、各世代で見たことがない人はいないレベルのカードが名を連ねます。
特徴としてはやはり、ゴースト、エスパータイプが多いのが特徴でしょうか。
載せてないけど、クレッフィやエムリットとかもあります。

(3)冷気

最近まで猛威を振るっていた頂の雪道をはじめとして、氷系の特性(ポケボディー)・ワザによって特性をロックする効果がいくつか存在します。
エンペルトはこおりタイプではないですが、エンペルトの背景が南極のような教説地帯であることと、氷帝の「氷のエンペラー」である跡部圭吾が氷の技を使うことから、エンペルトは氷系統として扱います。

氷に関しては、=特性ロック というわけではなく、ポケモン世界における氷が、あらゆるアクションを制止させる。そこから由来して特性が止まるという構図のように思えます。
その証拠に、氷で特性が止まるようなワザ・特性もそこまで多いわけではなく、ワザロックや無敵などの効果も多く存在します。

ゲームにおける最強特殊状態である「こおり」を表現した結果、様々な行動不能とともに特性ロックが採用されたようなケースなのかなと想像できます。
初登場がグレイシアかなと思いますが、それより前にあったら教えてください。

(4)初期化?

この記事を書くきっかけのはずなのにここに触れるまではなくなってしまいましたが、
「イニシャライズ=初期化かぁ~無人発電所っぽいなぁ」と思ったのがこの記事のきっかけでした。

サイレントラボのフレーバーとしては、ラボなのに静寂である…つまり機械が停止しているというフレーバーかと思います。
無人発電所も同様に、機会を動かす人がいない…だから停止しているというニュアンスで、「イニシャライズ」と非常に近いなと思います。

機能が停止する=特性が止まる というようなフレーバーなのだと思います。

(5)視線・圧・顔?

最初は考えていませんでしたが、探しているうちにこれも一つのカテゴリではないかと思いました。

視線によって相手を縛る系のカードです。エンペルトVも冷気でカテゴリしましたが普通にここですね。

威圧とか緊張がポイントなのかと思いましたが、ケッキングはどう見ても緩和していますね…
まあケッキングがなまけがおをしてるということは次のターン殴られるのでそういう意味だと緊張感あるかもしれませんが…。

あえてちゃんと理由をつけるなら、覇気は能力を凌駕するという理屈ですね。

(6)その他

当然、上記のフレーバーでカテゴリ化できないものももちろん多くあります。
特に、タイプ限定や能力限定などのものは、法則がないものが多かったです。

まとめ

このように、ポケモンカードではレギュレーション落ちを繰り返し、一度環境からいなくなったテキストが、再び登場するとき過去の何かのテキストのフレーバーに似ているということが非常に多く起こっています。

ただのワザ名、特性名とテキストの組み合わせとして認識するのではなく、なぜこの名前で、このポケモンでこのテキストなのか、ということを考えると非常に面白いです。
また、過去のカードを見たときにも、「このカードのフレーバーって、現代のアレに引き継がれてるのかも…!」と思うと、過去のカードをみるのもさらに楽しくなると思います。

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